設立趣意

老人介護ロボットやホームロボットなど、人と直接接触を持つようなシステムに対する需要や、エネルギ効率の観点からバックドライバビリティをもつ小型軽量なアクチュエータや、フレキシブルで2次元的なセンサへの要求が高まりつつある。また、これらのシステムの研究開発においては、センサ、アクチュエータ、およびコントロール機能の一体化したデザインを材料レベルから機械システムまで一貫して行なわれることが重要と考えられる。

次世代ロボットや人間との協調の場におけるアクチュエータやセンサの機能を実現する材料として、ポリマーゲル、電子導電性高分子、イオン導電性高分子、ピエゾポリマー、オルガノゲル、液晶エラストマーを初めとした機能性高分子材料が考えられる。これら機能性高分子材料の研究開発は、日本が、従来より、主導的な立場にあったが、その応用開発を進めるにあたって、国内にまとまった組織がみうけられなかったところ、ソフトマテリアル機能応用調査研究会を平成15年1月より組織して、可能性の調査を進めてきた。その結果、国内の研究レベルが海外と比較して遜色ないこと、また、この分野に対する関連企業の関心が非常にたかいことが明らかとなった。

そこで、本部会では、引き続きこれら機能性高分子材料をベースとするセンサ、アクチュエータ等の開発の現状とその応用、またバイオ材料をベースとしたシステム応用への可能性について調査研究を行なうとともに、この技術分野に関心ある企業研究者を組織し、これまでの研究会の活動成果を還元できる様にすることを目的とする。これらの機能性高分子材料は今後学術的にも産業応用的にも非常に重要な位置付けとなり、とりわけ素材の開発と応用の有機的発展がポイントであることから、システム要請とのマッチングをはかりつつインテグレートする点も重要視し、この調査研究の過程で得られる新たな成果を学会員に公開するなど学会に積極的に寄与していく。

調査・研究項目

本部会では以下の分野を担当し、調査・検討を行う。

  1. 高分子を中心としたスマートセンサ、及び小型・軽量ソフトアクチュエータに関する研究
  2. 上記材料のシステム化における要素技術に関する研究
    (材料評価法、材料加工法、モデリング、センシング、制御、システム設計等)
  3. 産業化への可能性に関する調査
  4. 該当分野の海外における研究状況の調査
  5. バイオ材料をベースとしたシステム応用への可能性に関する研究

上記分野は、ソフトマテリアル機能応用調査研究会の活動において、有効性、可能性の高いことが分かってきた。従って、研究会活動を引き継ぐとともに、調査分野対象をこれまでのソフトアクチュエータ中心から、高分子スマートセンサ等も含んだソフトスマート材料一般に広げ、当該技術へ関心を持つ企業研究者への調査成果の浸透をさらに行う。