エンジンのモデルベースド制御
○研究概要

近年, 地球環境の保全とエネルギー資源の枯渇の問題を背景に, 自動車に対する規制が厳しくなり要求される性能が厳しくなっている. その一方で,自動車企業は市場の要求に早期に答えるため開発期間の短縮化が進むと同時に, 可変バルブ機構の導入など,エンジンシステムの複雑化が進んでいる. このような環境の中で, 従来どおりの開発手法では安全要求や運転快適性を満たす製品の開発に時間がかかるようになってきている.

こうした背景から,特に制御システム開発の見直しが課題となっており, できる限り実機を使った実験ではなく, モデルおよびシミュレータによって開発しようというModel Based Development(MBD)が 急速に進む制御システム開発の複雑化に対応しうる手段として期待されている.

本研究室では, SICEパワートレイン先端制御理論研究会が提供するエンジンモデルと それを使用したベンチマーク問題 に参加することで 産学連携のMBDプロセスを支援する統合環境の実現を目的として研究を行っている.

○これまでの取り組み

フィードフォワード入力列設計とフィードバック制御を組み合わせたエンジン始動制御
Particle-Swarm-Optimization(PSO)によるフィードフォワード入力列設計とJust-In-Timeモデリングベースのモデル予測制御を組み合わせ, 設計仕様を満たすエンジン始動時の制御手法を提案した.

入力拘束を陽に考慮した高速計算可能な非線形モデル予測制御
積分器とシグモイド関数を導入することにより, 入力拘束を陽に考慮しつつ高速計算ができる非線形モデル予測制御手法を提案した.

状態拘束を陽に考慮した非線形モデル予測制御
運転快適性に影響するジャーク(車両加速度の時間変化)や 燃費向上や排気抑制に影響する空燃比が 状態量に依存する関数として表せることに注目し, エンジンシステムに対して 状態拘束を陽に考慮できる Collocation法 を適用した.


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