近年、機動性の高さや車幅の狭さという利点により 二輪車による自動移動システムの研究が盛んに行われている。 二輪型移動システムは倒立状態安定化が難しく、特に停止時には劣駆動ノン ホロノミックシステムとなる。このようなシステムの安定化としてフライ ホイールやステアリングを利用するものなど多数の手法が提案されている。 本研究室では振子型バランサを搭載したシステムを提案し、今までに目標 軌道追従や前輪を持ち上げた状態での方向転換といった研究がシミュレー ション上で行われている。また実験において停止時の倒立状態安定化、直 線走行、軌道追従走行が実現されている。
これに対し本研究では、回転中心を移動することで形状を振子とフライ ホイールとの状態に適宜切り替える、可変構造型のバランサを搭載した自 動走行バイクの開発を目的とする。 このシステムでは振子型のみのバラン サを搭載するよりも広い安定化範囲と大きな安定性を確保でき、よりダイ ナミックな動きを実現できるようになると考えられる。
可動構造型バランサ搭載式バイクのプロトタイプとして、市販の折りた たみ自転車を基礎に同バランサを取り付けたシステムを考える。
制御手法としては、まず、制御対象であるバイクをモデリングし 座標変換することで、ゼロダイナミクスが安定となる出力関数を導出する。 さらに、得られた出力関数を用いてシステムの出力零化制御則を導出する。
導出した制御則を用いてバイクシステムのモデルに対して数値シミュレー ションを行い、従来のバランサよりも優れた安定性を持つことを示し、最 後に実機を用いて実験を行い、制御則の有効性を検証した。