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1. 実験目的

キットに含まれている空気圧アクチュエータを実際に動かし、効率的な使い方を考える。

2. 実験課題

以降の説明をよく理解した上で、用意された空気圧アクチュエータについて以下の実験を行う。

直動型空気圧アクチュエータ
  • 押す方向に使う場合と引く方向に使う場合で出力が違うことを確認する。

  • 圧力‐力グラフの作成

回転型空気圧アクチュエータ
  • 圧力‐トルクグラフの作成

3. 原理

3.1. 直動型空気圧アクチュエータ

直動型空気圧アクチュエータは、 直動型空気圧アクチュエータのモデル のような内部構造と考えることができる。

fig1
Figure 1. 直動型空気圧アクチュエータのモデル

3.1.1. アクチュエータの出力 \(f\)

"押し"のとき
\begin{align} \begin{cases} P_1 = P\\ P_2 = P_0 \ \ \ (大気圧) \end{cases} \ \ \ \ \Rightarrow f = P_1S - P_2(S-S_0) = S(P-P_0) + P_0S_0 \end{align}
"引き"のとき
\begin{align} \begin{cases} P_1 = P_0 \ \ \ (大気圧)\\ P_2 = P \end{cases} \ \ \ \ \Rightarrow f = P_2(S-S_0) - P_1S = (S-S_0)(P-P_0) - P_0S_0 \end{align}

3.1.2. 測定方法

アクチュエータの出力 \(f\) は、ばねばかりを用いて計測する。この際、ピストンとシリンダ間の摩擦力が入ってしまうのでこれを打ち消す。

"押し" を計測する場合
  1. アクチュエータが伸びきった状態で、押し込める方向に \(F\) を加えていって、動いた瞬間の力を \(F_1\) とする。

  2. アクチュエータを力ずくで縮ませた状態で、徐々に \(F\) を小さくしていって、動いた瞬間の力を \(F_2\) とする。

\begin{align} f = \frac{F_1 + F_2}{2} \end{align}

が求めたいアクチュエータの出力 \(f\) である。"引き" の時も同様。

3.2. 回転型空気圧アクチュエータ

直動型と違い、回転型空気圧アクチュエータの場合は動作方向での特性の違いはない。直動型と同様にして摩擦の影響を打ち消す。

4. 実験手順

4.1. 準備

コンプレッサでエアマッスルに空気を入れて、エアマッスル、圧力計、空気圧アクチュエータを配線する。

4.2. 直動型アクチュエータの特性測定

"押し" の場合
  1. エアマッスルのバルブ(あるいは空気圧弁)を開け、圧力を読む。

  2. アクチュエータが伸びきった状態でピストンロッド(軸)を押し込み、動き出す瞬間の力 \(F_1\) を測る。

  3. アクチュエータを力ずくで縮ませた後に徐々に力を小さくし、動き出す瞬間の力 \(F_2\) を測る。

    以上を、空気圧を徐々に下げていき繰り返す。(300[kPa] ∼ 100[kPa] くらいの間で5点ほど測定する。)

"引き" の場合

"押し" の場合と接続を変え、同様の実験を行う。

4.3. 回転型空気圧アクチュエータの測定

  1. アクチュエータについている柄の長さ(回転中心からばねばかりの取り付け位置まで)を測っておく。

  2. 直動型と同様に 300[kPa] ∼ 100[kPa] くらいの間で5点ほど力を測定する。(摩擦の影響を打ち消すために 2 回ずつ測定すること。)

5. レポート課題

各自、以下の内容をまとめて提出すること。
提出先

S5-310 (山北)のドア横ポスト

提出期限

2018/5/7 (月) 17:00 JST

  1. 実験データより

    • 直動型空気圧アクチュエータの 圧力‐力 グラフ("押し"の場合と"引き"の場合の 2 種類)

    • 回転型空気圧アクチュエータの 圧力‐トルク グラフ

      をまとめよ。

  2. "押し"の場合と"引き"の場合の特性が異なる理由を説明せよ。

  3. 回転型アクチュエータについて、回転型空気圧アクチュエータのモデル のように定数をおいたとき、圧力 \(P\) と回転軸から出力されるトルクの関係式を導出せよ。(ヒント:積分を行う。)

fig2
Figure 2. 回転型空気圧アクチュエータのモデル